東浩紀『訂正可能性の哲学』2023年9月1日刊行、ゲンロン、364ページ https://www.amazon.co.jp/dp/4907188501 NPOの仕事をしていると、未来、イノベーション、革新のキーワードが自然と目に入ってくる。ぼくたちは世界を変えられるのか、どうしたら「ルール…
2022年7月8日の「安倍晋三銃撃事件」のあの夏から、日本社会は旧統一教会の問題にケアをし続ける世界に一変した。同年12月1日には異例のスピードで被害者救済新法案が国会に提出された。この法案の名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律…
ユク・ホイ『再帰性と偶然性』2022年2月12日刊行、青土社、435ページ https://www.amazon.co.jp/dp/4791774469 香港、パリ、ロンドンの現代思想界で急速に注目を集める若き俊英による、近代のテクノロジーを根本的に問い直す、2019年の著作『Recursivity and…
倫理と道徳のどちらが優れているのか。区別をして選択をする対象なのだろうか。この二項対立の設定をしてしまってから、ぼくはNPOの具体的な現場活動の本質を探そうとし、あるいは普遍的な価値を追求しようとし、答えの出ない期間が続いている。 ■ NPOやコミ…
宮﨑裕助『ジャック・デリダ――死後の生を与える』2020年1月26日刊行、岩波書店、376ページ https://amzn.to/3jhMbvz フランス現代思想を代表する巨星、ジャック・デリダ。著者はデリダ研究および、イマヌエル・カントの美学、崇高論が専門。「生き延び」や「…
古田徹也『言葉の魂の哲学』2018年4月10日刊行、講談社選書メチエ、256ページ https://amzn.to/3hvrzPr ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン研究者として専門書から入門書まで執筆する著者による、言葉を選び取る責任の倫理について論じられた内容。2019年サ…
週に一度のペースで、インターネットの動画配信をしている。この仕事をするようになってから、1年以上が過ぎた。 まったくの素人だったぼくが、HDMIケーブルとmini HDMI、micro HDMIの区別、分配器を使うためのインプットとアウトプットの仕組みぐらいはわか…
十数万人を動員する祝祭型の市民活動は、グローバル資本主義で成功を手にした「GAFA」をはじめとするプラットフォーム企業の技術と抜群に相性が良く、市民活動にとってその実装が完了したのが平成の30年間であったと前回振り返った。 そして巨大化する市民活…
「古い名を暫定的かつ戦略的に保存する必要がある」と言及したのは、仏国の哲学者 ジャック・デリダによる1972年のテキストだ。 新しい概念が浮上したとしても、「古い名」は維持したままで、同時に新しい概念として二重化することによって、脱構築の効果を…
ぼくの仕事はクライアントにペーパーワークを求める官僚制に突き進んでいる。エントリーフォームの記入やワード書類を提出してもらい、そこから面談の日時調整をしてから初めて会う。その後ご一緒してからも、企画書の提出をお願いする。何かが終わればアン…
社会的インパクト評価は科学的な知をもとめる体裁で、宗教的な物語を語っているに過ぎないのか。そしてそれを非難する者たちも不在の真理にたどりつこうとしているかは不明である。願わくは、物語が感染と模倣を繰り返し、短絡的な欲望で満ちた世界で偶然に…
「偶然性 contingency 」は、リスク管理、成功報酬型の世界で登場する言葉だ。将来起こりうる事、つまり不慮の事故、不測の事態という意味を持っている。 偶然性や偶発性に自覚的になり、他者へ「共感」した後、結果的に連帯の感覚が生み出されると考えたの…
思い出されるとどうしてもやるせなくなる2017年の出来事は、10月にあった民進党の分裂。希望の党とのやりとり。そしてスティーブン・バノン氏とのやりとり。情報が届くたびに今世をあきらめる気持ちが止まらないのが正直な気分だ。ここまであけすけに裏表な…